人に恵まれ、愛される・・・そんな町並みで実現させる伝統文化「五條華のんーKANON」
この記事は、重要伝統的建造物群保存地区「五條 新町通り」の中央に位置する、古民家「みよし邸」を活用し、週末限定でショップを運営されている「五條華のんーKANON」の代表の蔵永明美さん(以下、「蔵永さん」)へのインタビュー記事part2です。
part1の記事では伝統文化である”花嫁行列”や、蔵永さんのお仕事などについてお伺いしました。
今回は五條市に焦点を当て、「五條華のんーKANON」と五條市のかかわりや、蔵永さんが考えるこれからの五條などについてお聞きしましたので、ぜひご一読ください。
この五條・しんまちの町並みでなければ
ーー蔵永さんと五條市との繋がり・・・ここでしようって思ったきっかけがあれば
蔵永さん:やっぱり五條と言えば、一番の観光地の新町っていう町並みだと思ってたので、この場所でしたかったんです。だからちょっと離れたらもう駄目なんです。この新町の中でしたかったんです。それも特にまちなみ伝承館までの間の場所が良かったんですよ。
この栗山さん(民家として日本最古の建物)ですか、あそこから入ってきた入り口の雰囲気と、ここのまちなみ伝承館のなんて言うんですか・・・あの雰囲気ありますよね。あの感じがすごく良くて。ここで何かしたいっていうのはずっと思ってて。
ーーそれはその段階では何かしたいだけで、花嫁行列ではなく・・・?
蔵永さん:結婚式です最初から。近くに御霊神社がありますよね、何軒も。ここだったら、山の川渡ったところが本宮ですか?。ここ入ったら新町のところと牧野と・・・三つぐらいあるんですよね、そこを繋げたかったんです。
ーーそういう想いがあって、もうこの町並みでという・・・
蔵永さん:何年前だか・・・6年前ぐらいに五條市の太田市長が中心となって、地域おこしのメンバーが15人ぐらい集まったメンバーに私もいてたんです。それで五條の行事を選考するときに、私が選ばれたんですよねたまたま。あの町並みの中で花嫁行列をするんだっていうことがなんか良かったみたいで。結婚式なんですっていうのを話してたらそれが認められて。
それで教育委員会にいらっしゃるん方の娘さんが結婚するっていうので、それやったらモデルで使われませんかっていうことで。それで了解を得て、牧野の御霊でコンサートみたいなライブショーを中でさせてもらって。そこで結婚式をして新町まで連れてきて、ここのの町並みで花嫁行列をしたという事が最初のきっかけで。だからここにまだ店はなかったです。
ーーなかったんですね
蔵永さん:花嫁行列だけでなかったですね。プロデュースさせてもらって全部決まったのはそれです。だからそこが大きなきっかけです。そこからこのお店を構えようってなったのは3年、4年前ですからその後ですよね。どこか根拠地がないと、信用性もないし・・・。結婚式も全部ここでやれるように頑張ってたんですけど、初めは公民館で衣装を着替えたりしてたんです。牧野の公民館で着替えをして、隣の御霊神社結婚式をしてここまで連れてきてたんです。
ーーでもちょっと効率性が悪いというか
蔵永さん:本当そうですよね。今は場所もここで全部できるんですから。でも当時は本当効率が悪くて、たまたまその日台風の日で、すっごく大変でした。雨の中したんですけど、花嫁行列はできなかったんですけど・・。やっぱりそれが大きなきっかけです。それが確か8年前ですね。それでですね。それが大きなきっかけかもしれませんね。
ーーそれは”華のん”さんとしての・・・
蔵永さん:”花工房蔵永”ですその時は。
ーーではこの”華のん”さんの創業のきっかけはそれがあってですか
蔵永さん:そうですね。本拠地がどこかっていうのを求めて、絶対新町でと思っていた時に、ちょうどここ(しんまち塾)を木村君がオープンしたんです。その時うちの子供が1期生の塾生だったんです。うちの子は、兄弟間がすごく年離れてて。18歳離れた末っ子が、塾とか行かずにパソコンが好きやったから、このパソコン塾をするっていうことで、初めて門を叩いたのがここだったんです。その時ここは駐車場で駐輪場だったんですよ。
その時に私いつも送り迎えしてて、それで木村君を知ったんです。当時、この下の半分だけを貸してもらったら宣伝できやすいし、物もちょっと置いとかしてほしいねん・・・から始まって、木村君とはそんな感じです。
木村君はいろんな企画っていうんですか、やっぱり五條の町並みを変えていこうという企画をされていたので、そのときに公民館に、GOJOチャレンジのイベントでハロウィン祭りとかもやって、何百人も公民館に呼んだり、それも一緒に全部考えてもらって。町作りを一緒にやってるような感じでした。
ーーじゃあ木村さんとの繋がりでという事ですか
蔵永さん:そうです。毎日ほど・・・週に何回も来てたんで。中学2年生ぐらいですかね中1か・・。それがもう6、7年・・・でそうですよね。今20歳ですから。本当に長いんですみなさん。だからものすごくわかるんですよ。本心というか、利益だけを求めてやる、っていうんじゃないんですよ。将来を見据えてくれたはるんです。子供のことだったり町だったり・・・素晴らしい人が住んでいらっしゃるなと思って。
それに私もそうですよ。私もやっぱり生きてる限り・・・こういうことにこだわってるのはそうなんです。だからそういうことで繋げていきたい。日本古来のものも文化を大事にして、ここの文化って言ったらこの町並みでしょ。それに一緒に考えていただける方がそばにいらっしゃるから、すごく嬉しいし。だからといって自分の仕事のとこで、ガッツリ入ってくるわけでもなくて、みんなそれぞれ違うんです、仕事内容が。そこがいいんですよ。中谷君はお食事だったり、木村君は子供の未来だったり。私らはこちらの文化だったりっていうのが、それがミックスしてるんですよ。
だからね、すごくねもう本当に良い場所やなと思って。
ーー蔵永さんも人との触れ合いが好きというか・・・
蔵永さん:好きですね。
ーーその原動力はどこから来てるんですか?
蔵永さん:いやあ、どうなんですかね・・子供も多いからね、PTAとかの役員も全部してたから、地域と繋がってることも多いんですよ。1人ずつの幅が広がってるから、1人の子供さんよりやっぱり4人の子供でしょ。だから4番目の20歳の子のママ友がすごく多くて。だからねやっぱり自分が年取っていくと下もそうですし、上もそうやけど・・そこの繋がりはちゃんと持ってないと、続いていかないから・・・時代を超えて。下を育てていくまではいかないけど、やっぱ共感できる人を繋げていかないとですね。
だからなんかね、・・・繋がりですよね。
これからの課題のなかで・・
ーー蔵永さんが課題に感じてること・・地域性もですしコロナの影響とか今課題に感じていることはありますか
蔵永さん:新町の中でやっぱり個人でやられてる方・・私みたいなところをもっとピックアップして・・・。ありますよチラシとかそういうのも。もっとやっぱり外から呼び込んでいただけるようなね、そういう戦略ってないのかなってすごく思います。
ーーそうですね、外からとなってくるとやっぱ個人の力ではなかなか・・・
蔵永さん:なかなか・・・だから役所にもそれなりに呼びかけてやってるんですけど。 なかなか動きが悪い。1人で動けないでしょ。やっぱりトップがある程度、そういう理解がある人が行かないと、途中で切ってしまうんですよね。トップがそう思って、その一番下もそう思ってても、この真ん中の地点の人がみんな切っちゃうっていうか・・・。私も、初めここができたときに、マップに載せてくださいって言ったんですよ。土日だけでもオープンしてて、花嫁行列ってやっぱり特殊なので。観光課の方とか行ったり。でも出来上がってるものに対して、これ以上変えていかないんですよあんまり。これで終わりっていうところで。
それでも、ここら辺も段々段々変わってきて・・・あの大野屋さんの手前の新町ミントって知ってます?喫茶みたいになってね自分の家が。すっごくケーキが美味しくって、もうね本当オーナーの人柄がすごくいいんです。週末イベントできるという場所がまたできたんですよね。
そんな細々とやってる人らをもっとピックアップして、もっとちゃんとしたものを作り上げてもらって宣伝してほしい。宣伝してもらう力が少ない。それでみんな繋がってないっていうか。じゃなくてみんなそれぞれのところを、マップにするなり・・。大塔の方もそうですね。あそこまでのところを繋げてもらうようなマップが欲しいなと思います。
それとやっぱり私らぐらいよりもっと若い人が・・・もっとね活躍していただけたらいいんやけどね・・・。
ーーでもそういった意味でも、花嫁行列をもっとアピール出来たら・・・
蔵永さん:花嫁行列もそうですけど、以前は婚活もしてたんです。
ーー見たことある気がします
蔵永さん:婚活を源兵衛さんでしてたりしてたんですね。お見合いもしてたんです。だからそこでみなさん出会ってもらって、結婚式させてもらって移住してもらって、ここの街の人口を増やしていくという・・・そういう最終的な目標を持ってたんですよ。だけど最近結婚しない若い子が多いので、だからそういう計画もあったんです。でもコロナで縮小されてしまって・・。
ーーでもその関わってくれた人がここで花嫁行列を・・してくれたら・・もうすごいですよね!
蔵永さん:途中でコロナになるまでは・・・本当いっぱいしましたよ。だいぶやりましたよ。
ーーそれが今後のやりたいことっていうか今後の展望というか・・
蔵永さん:でも結婚って本当難しいでしょう。
ーーそうですね・・・それはほんとに縁もありますしね
蔵永さん:責任もあるしね。いろんなことの重荷だってね・・・。
ーーでもそれが本当に形になって花嫁行列で完結ってのは素敵でしょうね!
蔵永さん:やっぱり10年20年先のことを見ながら、私もね進めていきたいんでね。
ーーでもそれには根底に、この五條の新町が好きやからっていう気持ちがないと・・・
蔵永さん:そうですね。歴史っていうのはあんまりわからないんですけどね。なんかこの静かな雰囲気とこの町並みの感じがマッチしてるんですよ。歴史ってもっと深いでしょ。私はそこまではちょっとわからないですけどね。
ーーその志を持った人たちの集まりっていうのは、私も何回もいろんなところを取材させてもらってますけど。みなさん持っておられて、その想いが熱い方が・・・
蔵永さん:多いでしょ。
ーーみなさんすごいなと思って。何が原動力だろうといつも思います。でも五條をよくしたいっていう・・・そこにつきますよね
蔵永さん:そうなんです。もう本当にもう皆さんそれぞれ仕事あって・・・そうです本当に暇じゃないですよね。だから何かそれを外にアピールできないかなって、こんな取材があるといつもそう思うんです。
ーー今は発信方法としたら個人のSNSとかですかね・・・そういった意味で”華のん”さんのインスタとか、初めて見せてもらった時も魅力的だなと思いました。それにここでやる”花嫁行列”っていうのが他にないじゃないですか
蔵永さん:ないですないです。
ーーだからすごいと思います!同じような町並みの京都の二寧坂とかでは人が多すぎて、規制の関係で絶対にやりずらいでしょうし・・・だからその意味では新町じゃないとできないですよね・・。
蔵永さん:そうなんですよ。ここでしかできないっていうブランド力をね、もっとつけないと駄目だと思う。
ーーそうするためにはっていうところがね・・・やっぱり課題ですね
蔵永さん:課題です。だからクラウドファンディングとかで集めたりとか・・・いろいろ3年ぐらい前かな、いろいろといろんな方向で考えたんですよ。でもねやっぱりクラファンもね、ある程度知り合いがたくさんいてて、寄付でもしてくれるようなメンバーじゃないとなかなか・・・。
ーーそうですね
蔵永さん:コロナで結婚式ができなかった方を呼んで、ここでやっていこう、とかいう企画もあったんですよ。もうみんな我慢してたわけでしょ。だからここだったらできますよ、っていうことで、クラファンもしたり・・・。いろいろ考えたんですけどね。ひと昔前・・・みんなね多分、最初の頃はクラファンもいけたんでしょうけど。でも今は誰でもかれでもするから、段々飽きてしまって・・・。
ーーそうですね。なかなか企画力がないと・・・
蔵永さん:やっぱり個人でやっていこうっていうのは、ちょっと難しいっていうとこにたどり着いて、もう引いちゃったんですけど。だから本当の結婚式をもっともっとしていって、もっとわかってもらわないと駄目なんで。
ーーなかなかそういったことをしても難しいとなると、やっぱり若い方の力が・・・
蔵永さん:やっぱり若い子が集団で来て、いろいろと入れていただくのが一番やね。呼んでこないとあかんね。その人たちを・・。
ーーそのためにはやっぱり五條を知ってもらわないと・・・。地方創生をしているそういった町がたくさんある中で、五條を選んでもらうっていう、それこそブランド力じゃないですけど・・・
蔵永さん:でも最近新町通りにできたチョコレート屋さんとか・・・。
ーーそうですね
蔵永さん:あの方もすごいでしょう。あの人たちが来てからだいぶ違いますよね。あの発信力がすごいですよ。やっぱり物がちゃんとあって、どんどん発信していって売っていくっていうことがひとつでしょ。私らってモノじゃないところが難しいんですよ。これを売ってるからいくらもらう、とかそういう感じじゃないでしょ・・・。
ーー体験ですよね。でも今、サブスクとかでも体験型がすごいです。だからウケると思うんですよね。割と物だけじゃなくて体験とかって・・・。
ここからの・・・これからの五條
ーーこれからの五條についてはどうですか
地域もみんな知ってて、知り合いみんなで手を取ってるんですよ。それでもなかなか繋がっていきにくい。みんな繋がってる上で、みんなで支え合ってるんですけどね。
ーーでもそう聞いたらなんかすごい心強いというか・・・五條は大丈夫じゃないかなと・・・
蔵永さん:思うでしょう。そうですよみなさん繋がってますよ。
ーーそうしていかないと生き残っていけないってのもありますしね
蔵永さん:やっぱり何かプライドっていうか、自分で何か持ってる強みがある方が、あちこちにいらっしゃるんで。
だからみんなわかってるんです性格も。信頼してくださるし、私のこともそうやけど。私はこれをやってるんだって。他には手をかけてないです私も、一切。
花の世界しかしてないんで。そこがやっぱり信頼性があるのと違うかな。でも私もそうやし、他の方も見てたらそれ1本ですもん。ずっとそれに対して。私もずっと花の世界でブレてないと思います。それにプラスやるのは地域貢献したいから。やっぱり地域の中で動いていきたい方なんですよ何でもね。だからそういうところはブレてなくって今のこの年までやってきたんで。
だから他の方も信頼をしていただけるし、みんな周りの方もそういう方ばっかりですもん。
だからそういう方がみなさんそばにいてくださるから、この気持ちは・・・強いと思いますよ。いい流れはあると思うんで、ブレない限りは・・・みんな仲良くこのままでいけるんじゃないですかね。