官民が一体で五條の新たな魅力と価値を創造し、稼げるまちづくりの実現を目指す「五條市地域商社株式会社」。

今回は、五條市地域商社株式会社の代表取締役、宮倉靖幸さん(以下、「宮倉さん」)にお話をお伺いしました。

自然・文化・歴史など様々な魅力のある五條の地で、地域をつなぐ架け橋として五條の魅力や価値をPRし、次世代へと繋ぐ役割を担っている五條市地域商社の活動についてお話しいただきましたので、ぜひ最後までご確認ください。

五條市のプラットフォームとして誕生した『五條市地域商社株式会社』

ロッジ星の国

ーーはじめに会社を立ち上げられた経緯と、どのような会社なのかをお伺いしてもよろしいでしょうか?

宮倉さん:設立した経緯ですが、五條市地域商社株式会社の設立の前にですね、五條市という地域そのものをより対外的に発信できるブランドを確立することを目的とした、五條市の地域ブランド協議会というところがありまして、それが立ち上げて2年くらいやってたのかな?

「地域のいろんなものを見直したり、掘り起こしたり、育てていったりするようなことを、具体的にやっていきましょう」ということでですね、そのブランド協議会の中から今の地域商社の役員の方が選抜として選ばれて、いろんな方々が集まりまして。

私は地域の観光協会の会長という役目をさせていただいたり、他にも五條市の森林組合の組合長とか元ホテルの支配人とか、柿作りをされている方とか、片岡さんのように地域をいろんな面から見られている方とか、南都銀行さんにも入っていただいて、「いろんなことを楽しくやっていきましょうね」ということで始まりました。

ーーひとつの視点ではなく多方面からいろんなことを五條市でということで立ち上げられたんですね。

宮倉さん:そうですね。その中で、地域商社だけでなく五條市にも入っていただき、元々のブランド協議会の方々とも交流をしながら進めているところです。

そんな流れで「何やってますの?」っていう話ですが、二つありまして。

一つは地域商社を立ち上げるにあたって、旧大塔村の一般財団法人『大塔ふるさとセンター』があるんですけど、それを土台として収益事業的なことをしていた財団がありますので、それを母体として経済活動をしながら法人化して、大塔の『道の駅』・『ロッジ星のくに』・『夢の湯』など、『大塔ふるさとセンター』が担っていた仕事を引き継いで運営しています。

山小屋風のログキャビン

ふれあい交流館・夢乃湯

そしてもう一つは、五條市のブランドを上げていくための具体的な活動になりますね。例えば、新しいブランドになるような新商品を作ろうということで、昨年は”さんま寿司”というのを作りました。

さんま寿司

五條市にもっと多くの人に訪れてもらおうということで、五條市に来ていただくためのツアーを立ち上げたり、五條市で新たな試みとしてITを活用しながら人材育成をやっていく中で、新たな仕事をどんどん増やすための働きかけをしています。

あと、地域産業の大きな柱である柿の生産販売があり、柿を中心として「柿の葉ずし」という名物もありますが、柿の実だけではなくて柿の葉っぱも売り上げを取っていくための仕事になるんじゃないか、ということでいろんなことを考えつつ進めています。

比較的時間をかけずすぐにできることもあれば、なかなか結果が出てくるまでに時間がかかることもあるので、なかなか一度にはできないですけれども、一つ一つ実現していきたいなと思います。

大きな柱である大塔の事業もコロナの影響がありますし過疎が進んでいる地域でもありますので、観光客の誘致などで施設がより多くの利益を出すためのお手伝い、と言ったら失礼な言い方かもしれませんが、なにか我々が役に立ったらいいなということで取り組んでいるところですね。

五條市大塔町にある『大塔ふるさとセンター』について

ーー先ほど『大塔ふるさとセンター』のお話が出ましたが、「観光客が増えた」「施設運営が円滑になった」「新商品が増えた」など、地域商社が設立されてから変わったことを教えてください!

宮倉さん:数字で見えるところと、数字で見えないところはあるかと思うんですけど、やはり我々民間でやってますので営利を追求する考え方、つまりは「”入り”を増やすことと”出”を抑える」というところですね。

このコロナ禍で苦戦しているところもありますが、”入り”の部分は新しい商品を出したり品揃えを変えたり、サービス的なところで言うとネット環境を工夫したりとかは進めてきてますけど、コロナのせいにするつもりはないんですけどなかなか厳しいのが正直なところですね。

ただ”出”の部分に関しては、効率よくやっていく中で結果が出せていると思います。いわゆる収支的な部分でいうと、以前よりは決して悪くないと思っています。

ーーでは施設も以前より円滑に運営されているんですね!道の駅などの施設は主にどのような方が来られますか?

宮倉さん:家族連れが多く、国道168号線は新宮に抜けて行く国道でもありますので、他にもいろんな方が行き来しますよね。そんな中で車を止めてゆっくりとできる施設はそんなに数多くないので、休憩といった面でご利用いただく方が多いですね。

ーー私も大塔郷土館で昼食をいただいたことあるんですが、ほんまにおばあちゃん家みたいな感覚で、ものすごく時間がゆっくりというか、懐かしい気持ちになれる空間でした。そういった空間が好きでご利用される方も多いかと思いますが、いかがですか?

宮倉さん:そうですね。メニューに関しても、以前に五條市が開発した「ジビエカレー」などが好評でたくさん出てますし。今までは販売してなかったんですけど、地元の名産である「柿の葉ずし」を雰囲気のある木箱に入れてお召し上がりいただいているのも好評で、次々と商品開発をしてメニューのラインナップも増やしていけたらと思っています。

それで、郷土館にはかまどがあるんですけどずっと使われてなかったようなので、かまどを活用したちょっとしたお料理で、お客様に喜んで召し上げっていただけるものが開発できたらな、といろいろ試行錯誤しているところです。

ーー『大塔ふるさとセンター』に来られる方は、新宮に抜ける道ということで観光目的の方が多いんでしょうか?

宮倉さん:そうですね。でも、ビジネスの方もいらっしゃいますね。あと、数年前に大塔のあたりは台風による大きな被害があって復興が進んできましたけど、お昼にいろんなところで工事されている方が作業着でお昼を食べに来られている姿はよく見かけますね。

ーー新メニューの開発とか五條市のジビエカレーのお話もしていただいたのですが、宮倉様のおすすめのサービスとか商品はありますか?

宮倉さん:そうですね。郷土館の中で言えば、今は柿の葉ずしのセットとかジビエカレーがおすすめですね。

新しいメニューの開発もしたいと思っているのですが、ただいろんなことを運営していまして、例えばこの3月に『夢の湯』が閉鎖になるんですけど、そこで働いていていた人たちの雇用を守るために他の施設で受け入れをしないといけないということで、郷土館でも今は繋ぎで営業しているところがあって。

だから、雇用も守りながら利益も出しながら運営していくということで、今いろんなことを考えながら進めています。

ーー難しいですね。

宮倉さん:そうなんです、そうなんです。

ーー経費で何が一番かかるかってなったら人件費になってきますし、そこも悩ましいところですね。

宮倉さん:悩ましいとこなんです。だから潤沢に人も入れたいんですけど、入れすぎると先に余ってくるし…。だから今は少ない人数で回している状況が続いていて、ですからウエイト的にしんどい部分もありますね。

ーーそうなんですね。では、年間通しての閑散期とか繁忙期はありますか?

宮倉さん:ありますね、明確にありますね。今(2月)、閑散期です。

ーーやっぱり道路の状態ですか?

宮倉さん:雪ですね…。春夏秋はいいんですけど、冬は「こんなにも人が来ないか」というのを経験してるんで。 

五條市に点在する魅力や課題をPRし、活性化をしながら”稼げるまちづくり”を目指す

ーーいろんな方が地域商社に参画されていますが、自社の新商品を出す時に「自分の会社ではなかなか間口が狭くて…」ってなった場合、地域商社としても販売するということもあるんですか?

宮倉さん:あります。僕なんかは新商品を作る時、まず”出口”を作ろうとするんです。出口というのはどういうことかというと、いわゆる新商品を開発するんですけど、それをどう売っていくかという”売り方”を考えるんです。

ーーマーケティングですね。

宮倉さん:例えばジビエカレーでもいいんですけど、五條市でジビエカレーを作りましたと。これは「イノシシとか鹿を捕獲したけど困っている」という課題の解決という目的もあったと思うんですけど、大事なのは「作りました!良いものできました!さあどうやって売りますか?」ってとこなんです。

だからさんま寿司も「作りました!じゃあどこで売りますか?」ってなって、大塔の道の駅や他にもいろんなところで売ってるんですけど、拠点が増えると販売する間口が広がりますよね。

ーーその商品を売り込むための営業がいらなくなりますね。

宮倉さん:そうです、「売る側がやりますよ」っていうことです。

ーーそれはものすごく円滑で効率的ですね!

宮倉さん:だから新商品を開発したからといって、何も大塔だけで売ることを考える必要はなくて、どんどん外で売っていけばいいと思うんですよ。その結果、さんま寿司はよく売れています。今回はさんま寿司ですけど、五條市の中でさんま寿司みたいな商品がどんどん増えたらいいと思っています。

例えば「柿シュークリーム作りました」「柿の和菓子作りました」という方が五條市地域商社のブランドのロゴを使って「これは五條市で作られたもので…」というストーリーをのせて販売する、といったように売りやすさとかネタをうまく活用してもらって、新たな新商品をどんどん出していってもらいたいですね。

そして、その売り上げの一部が還元されたら、また違う使い道を考えていくこともできますし。そうして、去年も1年間でそれなりのお金をバックすることができています。

さんま寿司の当初のパンフレットにも書いているんですけど、そういった中でロイヤリティの一部が例えば学校のサッカーボールの購入や、楽器を購入することに繋がれば循環にもなりますし、そういった意味でも、ただ営利だけを考えるんではなくて、町にとって良いことであるなら微力であっても意義があるかなと思いますね。

ーー考えのベースに五條があるんですね。

宮倉さん:そうです。”五條に特化したものであること”という、ルール付けもしながら増やしていきたいと考えています。

ーー”五條に特化した”というと柿もありますね!

宮倉さん:そうですね、やっぱり五條といえば柿の生産量が日本一で、”日本一”の肩書というのは大きいと思いますし、それを題材にいろんなことをやっていくというのは一番近道なのかなと、個人的な思いとしてありますね。

ーーでも柿はすごく魅力的な商品ですから、それをもっと広めていけたらいいですね

五條市の魅力的な資源全てを取り扱い、PRするプラットフォームへ

今回は五條市地域商社株式会社の代表取締役、宮倉靖幸さんにインタビューさせていただきました。

part1では五條市地域商社株式会社が立ち上げられた経緯や現在の活動などについてお話しいただきましたが、part2では五條市地域商社の今後の展開と五條市の魅力などについてお話しいただきます。

ぜひpart2もご一読ください。

五條市地域商社株式会社のロゴ

会社名 五條市地域商社株式会社
事業内容

・人材育成事業
・葉っぱ事業
・新商品開発事業

住所 〒637-0417
奈良県五條市大塔町阪本249(ロッジ星のくに内)
電話番号 0747-35-0321
メールアドレス info@gojo-ltc.com

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