江戸時代の五條や周辺の風景が一冊に。五條十八景とは
五條十八景をご存知でしょうか。
五條十八景とは、詩と画からなる1冊の詩画帖を指します。
この詩画帖の最大の特徴は、作成した当時を代表する作家の作品が入っている点です。
今回は、五條十八景の関連人物についてや、その歴史についてご紹介をしますね。
当時のクリエイター達の技術が集結された「五條十八景」
出典:五條十八景の概要|五條市
「五條十八景」は五條の初代代官である河尻甚五郎により編集された詩画帖です。
祇園南海の詠んだ漢詩「五條十八景」と出会った河尻甚五郎は、詩画帖として編集するために各方面の有識者に協力を頼みました。
老中松平定信や各方面の有識者にその詩の書を頼み、画を伊勢の三井丹丘に依頼、さらに題字ほかを寛政の三博士の一人柴野栗山に依頼しました。
最後に詩画帖「五條十八景」ができるまでの経緯を林述斎に、書を市川米庵に依頼しています。
この「五條十八景」に関わった人物についてまとめますと下記のようになります。
- 詠詩:祇園南海
- 画:三井丹丘
- 書:松平定信ほか
- 題字ほか:柴野栗山
- あとがき:林述斎、市川米庵
上記に記載した人物は、当時をそれぞれの道で代表する方々です。
豪華な面々が作成に関わっているのが、この「五條十八景」の最大の魅力ですね。
下記は五條市のサイトより引用した、それぞれの書に関わった人物に関しての記載になります。
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第四景「勢堂紅葉」 中西研斎(江戸の高名な書家)
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第五景「高取孤城」 源 家長(高取城主)
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第十二景「犬飼駅馬」 尾藤二洲 (幕府儒官 寛政の三博士の一人)
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第十三景「御霊古祠」 古賀精里 (幕府儒官 寛政の三博士の一人)
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第十五景「城山夕照」 松平定信 (老中主座 白河藩主)
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第十六景「鴬井納涼」 源 家教 (高取城主 家長の子 老中格)
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第十七景「野原柴橋」阿部棕軒 (備後福山城主 後に老中に)
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第十八景「牧瀬漁網」柴野栗山 (幕府儒官 寛政の三博士の一人)
引用:五條十八景の概要|五條市
「五條十八景」について解説
出典:五條十八景の概要|五條市
五條十八景画帖は、 下記のような十八の詩と画から構成されています。
それぞれの作品とも、五條やその周辺の風景が美しく表現されてます。
下記は、五條市のサイトより引用した、作品のタイトルになりますので、ご参考にしてみてください。
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第一景「葛城夕嵐」 葛城山の天候の激変を詠む
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第二景「高峰秋月」 伊勢との境にある高見山を富士山に見立てて詠む
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第三景「大嶺積雪」 大峰山の峻険さと神秘さ詠む
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第四景「勢堂紅葉」 大澤寺辺りの紅葉の美しさを詠む
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第五景「高取孤城」 堅城といわれた高取城を中国の膝王閣に擬して詠む
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第六景「芳野川筏」 落花の芳野川と筏師の清潔な心情を詠む
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第七景「湯川遠村」 杏の花の咲く湯川の村を詠む
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第八景「二見耕人」 麦の青々と伸びた夏の日、百姓の気持ちを詠む
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第九景「大善寺桜」 寺の庭にある竜のごとき櫻の落花のさまを詠む
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第十景「千早樵夫」 南朝の歴史を秘めた千早(金剛山)とそこに働く樵(きこり)の対比を詠む
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第十一景「富山牧牛」 桃源郷のような所でのんびり草を食み水を飲む牧牛を詠む
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第十二景「犬飼駅馬」 犬飼の宿場を行き交う旅人を送る名残の情景を詠む
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第十三景「御霊古祠」 古いお宮の神々しさとそこに祀られる井上内親王の悲しみを詠む
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第十四景「栄山瞑鐘」 栄山寺の春の夕べのなんとなく寂しい情景を詠む
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第十五景「城山夕照」 二見城跡の栄枯盛衰とそれを背景にして飛ぶ白鳥を詠む
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第十六景「鴬井納涼」 鶯井納涼 金剛山から湧き出る清水と月影に涼しさを感じて詠む
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第十七景「野原柴橋」 早春の河原、賀名生の梅見から帰る人が柴橋を渡るを詠む
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第十八景「牧瀬漁網」 栄山寺の下流で牧瀬での鮎漁と岸の松に雨の降る様を詠む
引用:五條十八景の概要|五條市
過去の風景を描いた五條十八景。
現在も真冬に雪化粧した大峰をみることができることから、第三景「大嶺積雪」と重なりますね。
五條十八景から五條や周辺の風景は、昔から変わらず美しいということを知ることができます。
五條や周辺の風景の様子を描いた「五條十八景」
昔の五條およびその周辺の風景につい想いを馳せてみてはいかがでしょうか?
五條十八景は五條市のホームページにて詩と画を見ることができます。
気になる方はぜひ下記のサイトより五條十八景をご覧ください。
また、五條市地域商社では、奈良県五條市、またそれ以外の地域に関わる歴史情報などを発信しています
歴史好きな方はぜひ、五條市地域商社のサイトを覗いて記事を読んでみてはいかがでしょうか?
下記の記事では、奈良県五條市の観光地「堀家住宅」について紹介をしておりますので、ぜひご覧になってみてください。