これから先の五條市の地域課題を見出し未来の担い手を育てる『GOJOチャレンジ』
この記事は、五條新町の中心に位置する三好邸を中心に事業展開する「株式会社GOJOチャレンジ」の代表取締役専務 木村 航さん(以下「木村さん」)へのインタビュー記事part2です。
part1の記事では、振り返れば”リスクよりもチャレンジ・・・気づけばチャレンジの連続だった人生”だったという、木村さんと五條に関わるお仕事や、人生観などについてお伺いしました。
今回は五條市と地域課題に焦点を当て、「GOJOチャレンジ」と五條市のかかわりや、木村さんが考えるこれからの五條などについてお聞きしましたので、ぜひご一読ください。
外から見た五條の印象と現状
ーー五條市を創業の地に選んだの・・この「GOJOチャレンジ」として選んだっていうのがさっきおっしゃった・・・
木村さん:ご縁ですね。
ーーそうですね、本当に・・・木村さんも、北海道から京都行かれて、五條に来られて。五條に来られたのが何歳ですか?
木村さん:22歳のときに。それが2016年かな・・
ーー立ち上げの時にですね
木村さん:立ち上げちょっと前ぐらいから五條の現地に入ってやってました。
ーーそれは移住という形ですか?
木村さん:はい。大学の単位はもう基本4年生ときは体も全部取り終わって、あとは卒業後だけだったんですけど。その状態で休学をしてたんで、大学も当然行かなくていいですし。なのでずっと五條にいて、立ち上げの準備だとか、あとは地域との関係を広げていろんなとこでお手伝いとかしながらコミュニティ広げていって、っていうことをやってました。
ーーそれは五條市の文化財とか企業さんとかことですか
木村さん:そうです。大和社中さんが最初の起点だったんで、スタッフとしてちょっとバイトじゃないですけど入って、いろんな人とご挨拶していったりだとかが最初で。そこから「GOJOチャレンジ」の立ち上げをしました。立ちは上げる時は塾とかなんでいろいろ準備とかは結構ドタバタしながら、6月1日がレセプションパーティーで、市長とかも呼んでテープカットしました。
ーーついこの間も源兵衛さんでそういう大学生の募集みたいな記事を見かけましたが・・
木村さん:今はそういう形は取ってなくて、卒業生とかの大学生とか受け入れはしてますよ。2017年とか18年ぐらいのときにも、僕の同志社の後輩が1年間休学して、それこそ1年限りっていう期間限定だったんですけど五條に移住して、ひとりでうちの教室長を任せてちょっと運営させていたこともありましたし。
去年・・一昨年かな、立命館大学の子なんですけれども、彼も将来起業したいっていうところと、教育をしたいっていうことがあったので、相談を受けて。だったら当然五條とかだと通えないから休学前提になるけど、休学してうちで住み込みすることをやってみたらって、話をしたときに”やっぱりやりたいです”ってことで、実際にうち来て・・・。それこそここで寝泊まりしながら塾やって、というような経験積んで、今その子が実は徳島の美馬で塾をオープンしたんですよ。
ーー外から来た人たち・・木村さんもそうですけど、五條の魅力を感じるのはどういうところですかね
木村さん:まず町並みは気に入ってくれてますね。外から来た人は街並みを見てタイムトリップしたみたいってことはおっしゃっていただくこともあります。また、地域外の企業の方には、僕らを通して五條市役所の方や地域のキーマンとなる方とお会いできることを、喜んでもらえます。地域外の方が、ご縁の無いまま地域に入っても、市役所の方とお仕事に関する具体的な話ができる機会って少ないんですよ。また、地域のキーマンの人とか繋がれる機会もあまりありません。しかし、僕らは地域外の企業の方と市役所の人・地域のキーマンの方が繋がれるご縁の機会をつくっています。ご縁の機会を通して体的なお仕事の話を進められるところが、企業の方からすると魅力みたいで。だから五條でそういう意欲のある方々と出会うことで、何か面白いと思ってもらえるっていうのはあるなと思ってます。
ーーそれが地方創生であって、官と民が一体になってっていう、目指すところに皆さん魅力を感じてってことですよね
木村さん:そうですね。
ーー木村さんが感じる五條市の魅力はなんですか・・もう何年になりますか?
木村さん:もう・・五條と関わって6年になりますが、地域の魅力で言うと、以前から地域の人が温かいことですね。ずっと前から、本当に事実として変わらないなと思っていて。
また、地域の人が何かあったときにもいろいろよくしてくれます。横のおばちゃんとか”柿余ってるから持っていきやぁ”って(笑)。それって京都に居たら絶対ありえないなって思うし。”おはようございます”っていうそういう挨拶とかも京都は絶対しないですよね。
ーーえーっ!
木村さん:はい。そういう意味で、そういった地域との関係性は、改めていいなって思います。あとはどうなんでしょう。五條から大阪とかは行きやすいです。関西圏で言うとアクセスいいなと思ったりするんですけど。一方で東京から見たときにすごくアクセス悪いのが五條なんで(笑)難しいなと思うんですけど。関西圏で言うとちょっと移動すれば、大阪とか京都も行けるっていうのは何か・・・程よい田舎じゃないですけど・・いいなっていうのは僕は思ったりします。
ーーでも皆さん言われるのはやっぱり交通の便などが悪いっていうお話も必ず出てきたりするんですけど。その面でもやっぱり他から来にくいっていうところの課題とかも
木村さん:ありますよ。なので東京からの企業は呼びにくいです。やっぱりどうしても京都まで来てもらって電車で5時間、6時間ぐらいかかっちゃうと、東京からの企業呼びにくいっていうのは大きくあって。大阪とかだと1時間半とかあれば一応来れるので、そんなに苦じゃなかったりはするんですけど。
ーー東京の方が来られるってなったときは宿泊で
木村さん:はい宿泊でですね
ーーそれはやなせ屋さんとかで・・・
木村さん:とか、うちの片岡がこの新町通りの”山直さん”の横にあった古民家を買って、リノベして、旅館にしたんですよ。
ーーそうなんですね
木村さん:一応5部屋作ったので、5組泊まれるような状況になっていて。地域の方に運営はお願いするんですけど。多分年明けぐらいから、グラウンドオープン・・今はプレオープンみたいな形になってて。なので泊まれるところも増えてきてはいるので、そういったところに泊まってもらいつつ・・・。
ーー昔、塾で合宿でしたっけ?されてたのもまた利用したりとか・・・
木村さん:合宿もね、今年ようやく動き出して。コロナ時期で全く来なかったんですよ。2020年がなくて2021年もなくて・・・その前までは2ヶ月に1回ぐらいは少なくとも入ってて。月6から10ぐらい、開発合宿でここに利用で来てくれてたんですけど、2年間止まって。今年になってちょっとずつ復活してきたなっていうところあるんですけど。でもまだ当時と比べると落ち込んではいるとは思います。でも予約が入ったときには基本うちを使ってもらって、個室がいい場合はリバーサイドを使ってもらったりとかってしてたんですけど、新しくできたのでそっちに泊まってもらうっていう流れが作れるっていうのが今ですね。
ーー 私、御所に住んでるんですけど、御所もプロジェクトを組んで、古い町並みを利用して去年の10月に商店街に「銭湯ホテル」をグランドオープンさせたりしてました
木村さん:そうなんですか。
ーー地方創生の一環で、つぶれてしまった銭湯があるんですけど、その銭湯を復活させようということで・・。その銭湯と古民家ホテルと、レストランを御所まちのところにオープンさせてましたね。メディア戦略もしっかりされてて、話題性もありました。やっぱりそういう官と民との町ぐるみでじゃないと、なかなか話が進んでいかないのかなと・・・
木村さん:そうですね。あとはその官と民が一体となりつつ、最後、民が半歩リードするぐらいでやるならバランスがいいなと思っていて。やっぱり1人で企画を受けるっていうところもありますし、どっちかというと官主導だとお金がなくなると・・・とかって話になっちゃうので。それがなくても走れるよっていう状態で、民が半歩リードして・・。予算がつくっていうのは、あくまでもガソリンが増えるだけであって。なくても一応走れるようにしなきゃいけないなと思うので。
なんかそういう枠組みの中でやっていきたいなと思っていて。
五條についても、今はどっちかというと、民だけで動いてきたところも多分強かったんですけども。もうちょっとそこは官と連携しながら、やって行きたいなっていうのは次の動きとしては思ってますけど。
課題解決に向けた今後のプラン
ーー今、課題に感じていることがあれば・・地域性による課題とか
木村さん:課題は、今さっきも言ったようにちょっとアクセス・・・特に東京からのアクセスの問題があるので、その外の刺激を持ってこようと思ったときにはちょっと難しさはあるな、と思ったりするんですけど。かなりその地域の課題っていうと結構どこも、人口減少の共通課題もあるんですが、どうでしょう・・。
地域の中でいうと、やっぱり若い経営者たちが活躍できる場をもっと用意していきたいです。
本当に地域としてもっと面白くなるなと思っているので。あとはやっぱり若い経営者たちを、巻き込んでいけるのかっていうところが重要に感じてます。・・・それができるようになればもっと面白い地域というかまち作りとか、地方創生に繋がるな・・・という風に思っているという感じですかね。
ーーそういう形で取り組みとして基盤となるのを作っていく上でこれからのプランは・・
木村さん:今ね・・まさにそれをいろいろと、ディスカッションを社内でもしているところではあるんですけれども。
今さっきの御所の町並み全体のマネジメントとか、美馬市でもそうですけど。やっぱりそういったところをやっていきたい、というのが視点としてありますし。あとまたちょっと違う軸の話があって。DX(「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」)とかのデジタルってところも開拓したいなと。
正直、今うちもいろいろと悩んでたり、今すぐにこういう構想がありますっていうことはちょっとできないんですけど。でも少なくとも言えることは、やっぱりもっと市外からどんどんいろんな人を連れてきて、地域の人達と一緒になって・・・これ一緒になることが大事なんで。外から来た人だけじゃできないんで・・・。
ーーそうですね
木村さん:地域の中だけで出来ないから、地域外の方とも一緒になって新しいことを生み出していく、ここの場を作っていきたい、という想いがあります。そして、ようやく地域の中で基盤が出来てきたのが今なんで。ここにちょっと刺激を入れて、掛け算じゃないですけど、地域内外の連携をどんどん加速させていく動きをしていきたいなと。いう感じですね。
ーービジョンとしてはそういうことですよね
木村さん:はい。なんで僕はもうシンプルで、持続する地方創生をやりたいと。本当に五條市がずっと続く地方、まちづくりをしていきたいなと思っていて。持続させるためには、民間が半歩リードしながら官とも連携して進めていくっていうことも大事だし、地域の外と地域の中を繋いでいくってことも大事だと。やっぱりビジネスで稼いだお金を使って、また次のまちづくりに繋がる事業を作っていくっていうふうに、どんどん事業を展開していって、結果として地域がもっと良くなっていくということを目指そうということなので。そこの手段として教育が当然ありますし、もしかしたら旅館業とか、もっとITとかの技術を使ったデジタル系の事業になってくるかもしれないですし、ここは最後どこを選んでいくのかっていうところなんですけど。複合的にそういう専門の企業とかも連れていきながら、一緒になってそういう構想を作っていきたいな感じです。
地域に携わって感じること
ーー木村さんがここでお仕事されてて印象に残ってる出来事とか人とか何かあれば
木村さん:なんだろうな・・・難しいですね。でも嬉しかったのは、やっぱり卒業生が、自分もこの活動に加わりたいたいっていうふうに言ってくれたことが・・今年だったんですけど、ものすごく僕からすると嬉しいかったですね。
ーーそうですよね
木村さん:だからその時は僕もバイト募集とかって特に外にも出してなかったんです。
ーーそれ気になってたんです。どうやって広めていてるんだろうって
木村さん:全く表立って広めてなくて。時給をどうするとか、そういうことも何にも決まってない状態の中で、やりたいって話になって。それってすぐ嬉しいことだなと、やっぱり自分たちがやってきたことが形になってきたんだなっていうのは良かったなと。それこそ町のこととかいろいろ勉強してた子が、中学2年生の時に地域の柿について調べて書いた作文が、受賞したんですよ。「普段からそういうこと触れてたっていうのもあったんで、その調べ方というか、そういうのがすぐできたからいい作文が書けました」って言われたんで、なんかそれは良かったかなとはちょっと思いました。
ーーそうですよね。やってきたことが形になったということですもんね
木村さん:はい。何かそこがね。子供たちがそういう成長してくれたっていうところは、わかりやすくて嬉しかったなっていう思いますね。
ーー先ほどもおっしゃってましたが若い方が活躍する場がないと、これからの発展には繋がらないというとこで、そういう子たちが育っていくのはすごい・・・
木村さん:はい、夢がありますね。
ーーそうですよね。だから木村さんみたいに、その志を持った人たちがいっぱい増えてくれたら・・・
木村さん:そうですね。なのでそういう仲間をどんどん集めていきたいですね。
ーーリスクよりもチャレンジの・・・(笑)
木村さん:そうですそうです!リスクよりもチャレンジしてほしい!ワクワクする方に・・・!
ーーそうですねワクワク・・・!でもそれを見せてあげるのが大人たちの役目であったりもしますしね
木村さん:GOJOチャレンジはあくまでハブ(結節点)だと思ってるんで・・・そういう巻き込むことで、それでお仕事ができたらいいなと思ってます。
ーーそれが少しずつ認められて形になってきたので、またここからの動きがすごい楽しみです!
木村さん:そうですここからです。