以前、空海が立ち寄ったとされる奈良県五條市の「転法輪寺」についてご紹介しましたが、奈良県五條市にはもう一つ空海と深いつながりのある寺院があります。

それが奈良県五條市の西吉野地域にある「常覚寺」で、「ふげんさん」という名で親しまれています。

今回は空海が開いたとされる、奈良県五條市西吉野町の「常覚寺」についてご紹介していきます。

弘法大師空海が開いた!?奈良県五條市の「常覚寺」とは

今回は奈良県五條市にある「常覚寺」とはどのようなお寺なのか、そして弘法大師空海や南朝との繋がりについてもご紹介していきます。

奈良県五條市の「常覚寺」はどんなお寺?

常覚寺

出典:常覚寺

常覚寺は、奈良県五條市西吉野町にある寺院です。

また、常覚寺には木造普賢延命坐像・木造釈迦如来立像があり国の重要文化財に指定されています。

常覚寺は「寿命山」と名付けられており、御本尊として普賢延命菩薩坐像が祀られていることから、古くから「賀名生(あのう)の普賢(ふげん)さん」という名で親しまれる寺院となってます。

常覚寺の普賢延命菩薩坐像は数年前までは一般公開されていませんでしたが、2016年から一般公開され、現在は普賢延命菩薩坐像のすぐ近くまで行くことはできませんが、やや遠くから拝むことができます。

常覚寺には国指定の重要文化財である普賢延命菩薩坐像以外にも、本堂前の石灯籠や寺院の周りを囲んでいる立派な石垣などを拝見することができます。

弘法大師空海が開いた「常覚寺」

弘法大師空海

出典:本尊 延命菩薩|常覚寺

冒頭でも触れましたが、常覚寺は弘法大師空海が開いた寺院だとされています。

常覚寺に残る寺伝によると、弘仁2年(811年)に弘法大師空海が高野山から大峰山に一定期間こもって祈願する際に、途中で奈良県五條市吉野町黒淵に立ち寄りました。

しかし当時、奈良県五條市吉野町黒淵では、毒蛇に苦しめられている民たちが大勢いたのです。

その民衆たちを憐み、普賢延命菩薩坐像を木に彫刻し、この土地に堂宇を建立したのが始まりとされています。

常覚寺は弘法大師空海が開いたのちに、弟子に任せたとされます。

常覚寺と南朝との繋がりとは?

常覚寺と南朝との繋がりとは?

出典:正月の風景|常覚寺

常覚寺は弘法大師空海が開いたとされる寺院だとされていますが、同時に南朝との関係も深い寺院です。

延元元年(1336年)に後醍醐天皇が賀名生に病気の平癒を祈願しにこの土地を訪れており、また正平4年(1349年)には後村上天皇の勅願により福寿成就を祈願したとされています。

その後、南朝が衰退するとともに寺運も傾きましたが、元禄元年(1688年)に再建を行い、文久2年(1862年)には本堂を再建しました。

しかし、1955年(昭和30年)8月に近隣の火事によって全て焼亡し、現在の常覚寺はその後に再建された寺院となっています。

このように、常覚寺は南朝と繋がりがあり関係が深かったため、今でも皇室の紋である「菊の紋」を寺紋として使用しています。

施設情報

施設名 常覚寺(ふげんさん)
住所 〒637-0102 奈良県五條市西吉野町黒淵1321
電話番号 0747-32-0129
駐車場 あり
お問い合わせ 電話番号にてお問い合わせください。
公式HP 常覚寺(ふげんさん)
アクセス

JR西日本・和歌山線五条駅で降り、停留所・五条駅より奈良交通バス新宮行きに乗車、停留所・黒渕口下車。国道を徒歩15分。(十津川温泉行き・城戸行きでも可)

歴史深い寺院を巡るならぜひ奈良県五條市に!

今回は奈良県五條市西吉野町にある「常覚寺」についてご紹介しました。

奈良県五條市には「常覚寺」以外にも以前ご紹介した「転法輪寺」や、国宝が2つもある「栄山寺」、明治維新の先駆けとなった天誅組の変にも深く関わる「櫻井寺」など、深い歴史のある寺院がいくつもあります。

歴史に興味のある方や寺社巡りを趣味とされている方は、ぜひ一度奈良県五條市を訪れてみてください。

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